Fire Service Act

消防法

自家発電設備の点検方法が改正されました。

平成30年6月1日交付 総務省消防庁予防課通達 消防予第372号

改正前の問題点

負荷運転実施の際、商用電源を停電させなければ実負荷による点検ができない場合がある。
また、屋上や地階など自家発電設備が設置されている場所によっては疑似負荷装置の配置が困難となり、装置を利用した点検ができない場合がある。 これらの問題を解消するために、従来の点検方法のあり方を科学的に検証し、改正が行われました。

改正4つのポイント

Four points of revision

  • 改正ポイント1

    負荷運転に代えて、
    行うことができる点検方法に
    内部観察を追加

    総合点検における
    運動性能の確認方法は
    以前  負荷運転のみ 改正後 負荷運転または内部観察等
    負荷運転の実施が困難な設備 注1で行えるように施行されました。

    内部観察とは

    以下の項目の確認のこと

    • ①過給器コンプレッサー翼及びタービン翼並びに排気管等の内部観察
    • ②燃料噴射弁等の動作確認
    • ③シリンダ摺動面の動作確認
    • ④潤滑油の成分分析
    • ⑤冷却水の成分分析

    内部観察点検は、負荷運転の実施が難しい設備等で行えるように施行されました。
    潤滑油と冷却水は成分分析が必要で、エンジン部品(過給器コンプレッサー翼及びタービン翼並びに排気管等)を分解し、内部を内視鏡または目視にて点検する事を言います。

    内部観察の効果

    負荷運転により確認している不具合を負荷運転と同水準以上で確認でき、排気系統に蓄積した未燃燃料等も負荷運転と同水準以上で除去可能です。

    また、内部観察中は非常用発電設備を長時間運用できない他、高額な費用、特定の技術者が必要となります。

    注1)負荷運転の際、商用電源を停電させなければ、実負荷による点検ができない場合や設置されている場所によっては、疑似負荷装置の配置が困難な施設

  • 改正ポイント2

    点検周期を
    6年に1回に延長

    負荷運転の実施周期は
    以前  1年に1回 改正後 予防的な保全策が講じられている場合は6年に1回に延長

    経年劣化しやすい部品等について適切に交換していれば、無負荷運転を6年間行った場合でも未燃燃料等の蓄積が見られない事が検証されました。

    負荷運転とは

    火災停電時に消防設備を正常に稼働できる能力を有しているかを確認する試験です。
    疑似負荷試験と実負荷試験の2種類の試験が存在します。また、予防的な保全策では無負荷にて動作試験を実施しておりますが、消防法では非常用発電設備容量の30%以上の出力で負荷運転を実施する義務があります。

    ○疑似負荷試験
    負荷試験機を使用し施設の停電を伴わない試験であり、負荷試験機次第では100%の負荷をかけることが可能です。

    ○実負荷試験
    施設を停電させたりする事により、実際に消防設備の稼働を確認します。

    負荷運転の効果

    出力低下に繋がる堆積カーボンを30%以上の負荷で排出することが可能です。
    また、負荷をかける事により実働状態で非常用発電設備の運転性能の確認が行えます。

    予防的な保全策とは

    メーカーが推奨する耐用年数での部品交換及び点検です。
    毎年部品交換及び点検を行う事により、劣化や異常を早期に発見でき、故障を未然に防ぐ事が出来ます。

    ■1年に1回確認
    予熱栓 冷却水ヒーター 潤滑油プライミングポンプ

    ■メーカー指定推奨交換年内に交換
    潤滑油 冷却水 燃料フィルター 潤滑油フィルター Vベルト 冷却水ホース シール材
    始動用蓄電池 その他

    予防的な保全策の効果

    毎年の点検及び部品交換により劣化や異常を発見でき、故障を未然に防ぐ事が可能です。

  • 改正ポイント3

    ガスタービンの
    負荷運転は不要

    負荷運転が必要な自家発電設備は
    以前  全ての自家発電設備に負荷運転が必要 改正後 原動機にガスタービンを用いる自家発電設備の負荷運転は不要

    ディーゼルエンジンの負荷運転と機械的な負荷に差が見られず、未燃燃料の蓄積等もほとんど発生しない事が、燃料消費量のデータ等から確認できました。

  • 改正ポイント4

    換気性能点検は
    負荷運転時では無く、
    無負荷運転時に
    実施するように変更

    換気性能の点検は
    以前  負荷運転時に実施
    改正後 無負荷運転時に実施

    換気性能の確認は、負荷運転時における温度により確認するとされていましたが、室内温度の上昇は軽微で、外気温に大きく依存するため、温度による確認よりも、無負荷運転時における自然換気口や機械換気装置の確認のほうが必要であることが、検証データから確認できました。

  • 点検周期

    点検周期については
    下記 A B のサイクルにて消防法の基準を満たすことができます。

    ※AB共に2017年6月以降に製造されたもの又は負荷運転を実施したもののシュミレーションです。但し、それ以前に製造されたもの又は負荷試験を実施したもの

    シュミレーション A

    1~5年 予防的保全策 / 6年 負荷試験 or 内部観察

    0年目 2017年 2017年製造または前年に負荷試験実施
    1年目 2018年 予防的保全策(総合点検)
    2年目 2019年 予防的保全策(総合点検)
    3年目 2020年 予防的保全策(総合点検)
    4年目 2021年 予防的保全策(総合点検)
    5年目 2022年 予防的保全策(総合点検)
    6年目 2023年 総合点検 + 負荷試験 or 内部観察

    シュミレーション B

    1~6年 負荷試験 or 内部観察

    0年目 2017年 2017年製造または前年に負荷試験実施
    1年目 2018年 負荷試験 or 内部観察
    2年目 2019年 負荷試験 or 内部観察
    3年目 2020年 負荷試験 or 内部観察
    4年目 2021年 負荷試験 or 内部観察
    5年目 2022年 負荷試験 or 内部観察
    6年目 2023年 負荷試験 or 内部観察